更新情報10/11(日)

診療所のサイバーセキュリティ対策に使える補助金|国の確保事業は病院向け、診療所が使える枠はどこか【2026年】

クリニックツールナビ編集部公開

要点

国の「医療機関におけるサイバーセキュリティ確保事業」は、厚生労働省の令和9年度概算要求で129億円が要求されていますが、補助先は病院で、診療所は入っていません。診療所が2026年10月時点で申請できるサイバー対策の補助は、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)のセキュリティ対策推進枠(補助額5万円〜150万円、補助率は中小企業1/2以内・小規模事業者2/3以内、補助対象はサービス利用料の最大2年分)です。事務局サイトに載っている直近の締切は2026年10月30日(金)17:00です。東京都の令和8年度「医療機関診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業」は、無床診療所の基準額が3,750千円・補助率1/2で診療所も対象でしたが、第2回の申請期限(令和8年9月11日)を過ぎて終了しています。東京都以外の道府県で診療所向けのサイバー対策の補助は、2026年10月11日時点で確認できた範囲では見つかりませんでした。

国の確保事業は病院が補助先

厚生労働省の令和9年度概算要求「医療機関におけるサイバーセキュリティ確保事業」は、令和6〜7年度に全国の電子カルテ導入病院に対して行った外部接続点の見える化支援で、多くの医療機関に外部接続点が多数あり管理が困難になっている実情が明らかになったことを受け、外部接続点の適正化(物理的・論理的な集約)と維持管理体制づくりまで支援するものです。

項目概算要求の資料の内容
要求額129億円(令和8年度当初予算は計上なし。令和7年度補正予算15億円)
実施主体委託事業者
補助先病院
補助上限400床以上 6,600万円/200〜399床 4,500万円/20〜199床 2,100万円
補助率10/10

資料には診療所の記載はありません。同じ資料にある「医療分野におけるサイバーセキュリティ点検事業」も、特定社会基盤事業者への指定が想定される病院(特定機能病院)にセキュリティ点検を行う事業です。いずれも概算要求の段階で、今後の予算編成や国会審議で変わり得ます。

診療所が使える枠:セキュリティ対策推進枠

デジタル化・AI導入補助金2026のセキュリティ対策推進枠は、中小企業・小規模事業者等のサイバーセキュリティ対策を強化する目的の枠で、医療法人は常時使用する従業員が300人以下であれば対象、個人で開業している医師も個人事業として対象になります(対象者の判定は デジタル化・AI導入補助金の記事 で説明しています)。

数字セキュリティ対策推進枠(公募要領 2026年8月28日改訂・事務局サイト)
  • 5万〜150万円補助額サービス利用料が対象
  • 1/2以内補助率(中小企業)小規模事業者は2/3以内
  • 最大2年分補助対象のサービス利用料お助け隊サービス
  • 10月30日直近の締切(17:00)交付決定は12月10日予定
  • 対象のサービス: IPA(情報処理推進機構)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し事務局に登録されたもの
  • 補助対象経費: サービス利用料(最大2年分)
  • 補助率: 中小企業は1/2以内、小規模事業者は2/3以内。公募要領は、医療法人・社会福祉法人などは小規模事業者に該当しないとしているため、医療法人の診療所は1/2以内です
  • 申請の要件: GビズIDプライムの取得と、IPAの「SECURITY ACTION」の一つ星以上の宣言が必要です
  • 日程: 事務局サイトの事業スケジュールは、2026年10月時点で、締切日 2026年10月30日(金)17:00、交付決定日 2026年12月10日(木)(予定)、事業実績報告期限 2027年5月31日(月)17:00(予定)を載せ、「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」としています。以降の募集回は随時更新されます
比較診療所から見た3つの制度(2026年10月時点)

国の確保事業

病院が補助先

  • 診療所の記載なし
  • 令和9年度概算要求
  • 外部接続点の適正化

セキュリティ対策推進枠

診療所も申請できる

  • 5万〜150万円・1/2以内
  • サービス利用料 最大2年分
  • 締切 10月30日 17:00

東京都の事業

令和8年度は終了

  • 無床診療所 3,750千円・1/2
  • 第2回締切 9月11日
  • 令和9年度は未掲載

チェックリストの項目のうち、責任者の設置、台帳、連絡体制図、BCP、運用管理規程は文書を作る作業で、セキュリティ対策推進枠の補助対象経費(サービス利用料)には当たりません。補助を使う場面は、お助け隊サービスのような外部のセキュリティサービスを契約するときです。チェックリストの19項目は サイバーセキュリティ対策チェックリストの記事 にまとめています。

東京都の事業は令和8年度分が終了

東京都保健医療局の「令和8年度 医療機関診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業」は、医療機関のサイバーセキュリティ対策にかかる経費を支援する事業で、都内で電子カルテシステムを導入している病院と、地域における診療情報の共有・連携の取組を行っている医科診療所の開設者(東京都知事が適当と認める者)が対象でした。

区分基準額
無床診療所3,750千円
有床診療所4,375千円
200床未満の病院5,000千円
200床以上500床未満の病院12,500千円
500床以上の病院35,000千円

補助率は1/2、対象経費の例としてリモートゲートウェイ装置、オフラインバックアップ用サーバ、エンドポイントセキュリティ製品などが挙げられています。受付は令和8年4月15日に始まり、申請期限は第1回が令和8年6月30日、第2回が令和8年9月11日でした。2026年10月11日時点でどちらも過ぎており、令和8年度分は終了しています。令和9年度の案内は、同じページには掲載されていません(2026年10月11日時点)。

東京都の診療所向けには、電子カルテなどの導入を補助する「診療所診療情報デジタル推進事業」も別にあります。こちらも令和8年度の提出期限は過ぎています(電子カルテの補助金の記事)。

東京都以外の道府県

2026年10月11日時点で、東京都以外の道府県が診療所を対象にしたサイバーセキュリティ対策の補助事業を公式サイトで確認できたものはありませんでした。国の確保事業の病院向けの支援は都道府県が窓口になることがありますが、診療所向けの枠は別です。所在地の都道府県の医務主管課のページで、年度ごとの事業の有無を確かめてください。

診療所が確かめること

  • 契約を考えているセキュリティサービスが、IPAのお助け隊サービスリストに載り、事務局にITツールとして登録されているか(IT導入支援事業者に確認)
  • 自院が医療法人か個人事業か(医療法人は小規模事業者に当たらず補助率1/2以内)
  • GビズIDプライムとSECURITY ACTIONの宣言が済んでいるか
  • 直近の締切(2026年10月30日17:00)に間に合うか、次の募集回を待つか
  • 電子カルテ本体の導入・入れ替えは通常枠や令和9年度に予定されている国の補助の対象で、セキュリティ対策推進枠とは別であること

電子カルテの保守の範囲とサイバー対策の分担は、安全管理ガイドライン第7.0版の記事 で説明しています。製品は 電子カルテの比較 と 無床診療所のページ で見られます。

  1. 1

    MAPs for CLINIC4.5/5

    株式会社EMシステムズ・電子カルテ

    ¥20,000〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋整形外科・耳鼻咽喉科・小児科ほか2

    レセコン機能を一体で持つ診療所向けのクラウド電子カルテで、ORCAとの連携も選べる。初期ライセンスは無料の月額制で、Web予約・問診やレセプトチェックの機能を含む。

  2. 2

    Medicom クラウドカルテ4.5/5

    ウィーメックス株式会社・電子カルテ

    ¥24,800〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋

    ウィーメックスのクリニック向けクラウド型電子カルテで、レセコン機能を一体で備える。Basicプランは初期費用と月額を公式に示しており、Premiumプランは見積りとなる。

  3. 3

    エムスリーデジカル4.5/5

    エムスリーデジカル株式会社・電子カルテ

    ¥11,800〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋

    クラウド型の電子カルテで、レセコン一体型プランとORCA連動型プランから選べる。ブラウザで動作し、電子処方箋に対応している。

  4. 4

    CLIUS(クリアス)4.0/5

    株式会社DONUTS・電子カルテ

    ¥12,000〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋小児科・在宅医療

    DONUTSのクリニック向けクラウド型電子カルテで、レセコンにはWEB ORCAを使う。導入作業込みの通常プランと、自分で設定するDirectプランがあり、歯科・鍼灸院・接骨院は対象外。

  5. 5

    CLINICSカルテ3.5/5

    株式会社メドレー・電子カルテ

    料金は問い合わせ無料で試せるクラウド電子処方箋

    自社開発のレセプト機能と一体になった診療所向けのクラウド電子カルテ。Web予約・問診、自動精算機、検査会社などと連携し、iPadでの手書き記録にも対応する。

編集部スコア順(2026年10月11日時点)。当てはまる29本のうち5本を表示。スコアは機能の優劣ではなく、選ぶための公開情報がそろっているかの目安です(採点方法)。

当てはまる29本をすべて見る

よくある質問

国の「医療機関におけるサイバーセキュリティ確保事業」は診療所も申請できますか

令和9年度概算要求の資料では、補助先は病院で、補助上限も病床数(20床以上)で区分されています。診療所の記載はありません。

セキュリティ対策推進枠で電子カルテ本体を買えますか

セキュリティ対策推進枠の補助対象は、IPAのお助け隊サービスリストに載り事務局に登録されたセキュリティサービスのサービス利用料(最大2年分)です。電子カルテなどのITツールは通常枠の対象です。

東京都の事業は令和9年度も実施されますか

2026年10月11日時点で、東京都保健医療局のページに令和9年度の案内は掲載されていません。令和8年度は受付開始が4月15日でした。

個人で開業している診療所は小規模事業者として2/3の補助率になりますか

公募要領は、医療法人・社会福祉法人などの組織形態の者は小規模事業者に該当しないとしています。個人事業の場合の区分は業種の分類と従業員数で決まるため、事務局サイトの申請対象者チェッカーで確かめてください。

出典

  1. 厚生労働省「令和9年度 予算概算要求の概要(医療DXの推進)」
    https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/27syokan/dl/gaiyo-15-2.pdf
  2. 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)」
    https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_security.pdf
  3. 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 セキュリティ対策推進枠」
    https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/
  4. 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール」
    https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/
  5. 東京都保健医療局「令和8年度 医療機関診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業」
    https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/jigyo/h_gaiyou/cybersecurity
  6. 厚生労働省「医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和8年度版)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001716185.pdf

制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月11日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。

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