デジタル化・AI導入補助金はクリニックで使えるか|旧IT導入補助金の対象・補助額と電子カルテ【2026年】

要点
デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は、クリニックも申請できる補助金です。医療法人は常時使用する従業員が300人以下であれば対象で、個人で開業している医師も個人事業として対象になります。通常枠の補助率は1/2以内、補助額は5万円〜150万円未満(1プロセス以上)か150万円〜450万円以下(4プロセス以上)で、保険医療機関は賃上げの要件の適用外です(2026年8月28日改訂の公募要領(通常枠)と、2026年10月時点の事務局サイトによる)。
デジタル化・AI導入補助金とは
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に役立つITツール(ソフトウェア・サービスなど)を入れる費用の一部を補助する制度で、2025年までは「IT導入補助金」の名称でした。事務局(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局)は、TOPPAN株式会社が運営しています。
申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者(ITツールの販売・提供事業者など)と、補助を受ける事業者が「共同事業体」になって行います。導入できるのは、IT導入支援事業者があらかじめ事務局に登録したITツールの中からだけです。
- クリニック補助を受ける事業者
- 共同事業体
- IT導入支援事業者ITツールを登録済み
- 申請
- 事務局申請を受け付ける
クリニックは対象になるか
医療法人も個人開業医も対象になります。事務局の「申請の対象となる方」のページと公募要領は、次のように定めています。
| 申請者 | 対象になる条件 |
|---|---|
| 医療法人 | 常時使用する従業員の数が300人以下 |
| 個人で開業している医師 | 個人事業として対象(従業員数の上限は業種の分類による) |
- 医療法人・社会福祉法人・学校法人などは、従業員が少なくても小規模事業者には当たらないとされています(通常枠には小規模事業者向けの補助率はなく、小規模事業者の補助率があるのはセキュリティ対策推進枠の2/3以内などです)
- 個人事業の従業員数の上限は業種の分類で決まるため、事務局サイトの「申請対象者チェッカー」で確かめてください
- 申請には「GビズIDプライム」の取得と、IPA(情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」の一つ星か二つ星の宣言が必要です
通常枠の補助率と補助額
通常枠の補助率は1/2以内で、補助額はITツールが持つ「プロセス」(効率化できる業務の種類)の数で2段に分かれます。
- 1/2以内補助率条件を満たすと2/3以内
- 5万〜150万円未満補助額1プロセス以上
- 150万〜450万円以下補助額4プロセス以上
- 補助率が2/3以内になるのは、令和6年10月から令和7年9月の間に、当該期間の地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上の月が3か月以上ある場合です
- 補助の対象になる費用は、ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料は最大2年分)、導入関連費です
- 150万円〜450万円以下の申請では、4つ以上のプロセスを、共通プロセス・業種固有プロセス・汎用プロセスの中から含める必要があります
保険医療機関は賃上げ要件の適用外
公募要領は、150万円以上の申請や、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者に、1人当たり給与支給総額の伸びや事業場内最低賃金の水準などの賃上げの計画を求めています。このうち(テ)(ト)(ナ)の賃上げの要件は、健康保険法などの「社会保険医療の給付等を行う保険医療機関及び保険薬局」には適用しないとされています。
一方で、労働生産性の要件(1年後に3%以上、事業計画期間の年平均成長率3%以上など)は、保険医療機関も対象外とはされていません。交付申請はIT導入支援事業者と一緒に作成します。
電子カルテは対象になるか
医療業の「業種固有プロセス」(医P-06)の機能の例に、「診療管理(症状・処置・処方・経過・カルテ記録等)」「オンライン診療システム」「訪問診療・訪問薬剤管理(計画書・スケジュール・報告書作成、記録)」が挙がっています。ただし、公募要領は医療業のプロセスについて、厚生労働省標準規格に基づいたデータの共有や二次利用を円滑に行えるものである必要があるとしています。
補助の対象になるには、その製品がITツールとして事務局に登録されていることが前提で、そのうえで申請ごとに審査があります。製品名で補助の対象を確かめるときは、事務局サイトの「ITツール検索」か、提供事業者に問い合わせてください。
公式サイトでデジタル化・AI導入補助金(またはIT導入補助金)の対象と案内している電子カルテは次のとおりです。2026年の登録は、事務局サイトの「ITツール検索」で確かめてください(採択は申請ごとの審査です)。
電子カルテ全体の比較は電子カルテの比較、オンライン診療のシステムはオンライン診療システムの比較で見られます。開業の準備中なら開業準備中の方向けのページも参考にしてください。
国の他の補助金と重ねられない
公募要領は、国・中小機構・その他の独立行政法人の他の補助金等と重複する事業は対象に含めないことを申請の要件にしています。たとえば電子処方箋の導入には、国の別の補助があります(詳しくは電子処方箋の補助金)。同じ費用を両方の補助の対象にすることはできないので、どの費用をどの補助で申請するかを、IT導入支援事業者と先に分けておきます。
締切と事業の期限
通常枠の6次締切は、2026年10月30日(金)17:00です。
- 交付申請の締切2026年10月30日(金)17:00
- 交付決定2026年12月10日(木)予定
- 事業実施・事業実績報告の期限2027年5月31日(月)17:00予定
公募要領は、交付決定の前に契約・発注・納品・支払いなどを行った場合は補助金を受けられないとしています。7次以降の日程は、事務局サイトの「スケジュール」で確かめてください。
セキュリティ対策推進枠
通常枠とは別に、サイバー対策のサービスには「セキュリティ対策推進枠」があります。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し事務局に登録されたものが対象で、補助額は5万円〜150万円、補助の対象はサービス利用料(最大2年分)、補助率は中小企業で1/2以内(小規模事業者は2/3以内)です。
よくある質問
個人開業のクリニックでも申請できますか
できます。事務局の「申請の対象となる方」のページは、個人事業を含むとしています。従業員数の上限は業種の分類で決まるので、事務局サイトの申請対象者チェッカーで確かめてください。
医療法人は小規模事業者の補助率(2/3)を使えますか
医療法人・社会福祉法人・学校法人などは、小規模事業者に該当しないとされています。なお通常枠にはもともと小規模事業者向けの補助率はなく、通常枠の補助率が2/3以内になる条件は、地域別最低賃金の水準で雇用している従業員の割合で決まります。小規模事業者の補助率(2/3以内)があるのは、セキュリティ対策推進枠などです。
パソコンやカードリーダーなどの機器も補助の対象ですか
通常枠の補助の対象は、ソフトウェア購入費・クラウド利用費・導入関連費で、ハードウェアは入っていません。PC・タブレットなどを対象に含むのはインボイス枠(インボイス対応類型)などの別の枠なので、枠ごとの公募要領を確かめてください。
いつまでに申請すればよいですか
通常枠の6次締切は2026年10月30日(金)17:00です。申請はIT導入支援事業者と共同で行うため、GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの宣言は締切より前に済ませておきます。
出典
- 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf - 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 申請の対象となる方」
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/ - 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 スケジュール」
https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/ - 中小企業基盤整備機構(事務局)「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)」
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_security.pdf
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