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電子保存の三原則とは|真正性・見読性・保存性の根拠と電子カルテで確かめること【2026年】

クリニックツールナビ編集部公開

要点

電子保存の三原則は、診療録(カルテ)などの法令で保存が義務づけられた記録を、紙ではなく電子で保存するときに満たさなければならない3つの条件、「見読性」「真正性」「保存性」です。現在の根拠は、平成17年3月31日の厚生労働省の施行通知(医政発第0331009号ほか)の第二2(3)と、厚生労働省のe-文書省令の第4条第4項第1号〜第3号です。電子カルテを使う診療所は、この3つを満たす形で記録を保存する必要があります。

三原則の中身

三原則は、それぞれ次のことを求めています。施行通知 第二2(3)の文言を短くまとめたものです。

原則求められること具体的な中身(施行通知の(ア)(イ))
見読性必要に応じて、直ちに明瞭かつ整然とした形で画面に表示し、書面を作れる肉眼で読める状態に容易にできる/直ちに書面に表示できる
真正性保存期間中の改変・消去の事実の有無と内容を確かめられ、作成の責任の所在が明らか故意または過失による虚偽入力・書換え・消去・混同を防ぐ/作成の責任の所在を明確にする
保存性保存期間中、復元できる状態で保存する—
比較電子保存の三原則(施行通知 第二2(3))

見読性

すぐ読める・印刷できる

  • 画面に表示できる
  • 直ちに書面にできる

真正性

改ざんを確かめられる

  • 書換え・消去を防ぐ
  • 作成の責任を明らかに

保存性

保存期間中消えない

  • 復元できる状態で保存
  • 保存期間を通じて

ガイドライン第7.0版のQ&A(概説編 Q9)は、三原則を次のように言い換えています。真正性は「保存された情報が作成者の意思どおりに作成され、その後不正に作成・改ざん・消去されていないことを確認できること」、見読性は「必要なときに人が読める形で表示又は出力できること」、保存性は「法令等で定められた保存期間を通じて、情報を復元可能な状態で保存できること」です。

根拠になっている通知と省令

三原則の根拠は、平成17年の施行通知とe-文書省令です。施行通知は、平成17年4月1日にe-文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)と厚生労働省のe-文書省令が施行されたことに合わせて出されました。

資料三原則の場所
施行通知(平成17年3月31日 医政発第0331009号・薬食発第0331020号・保発第0331005号)第二2(3)「電磁的記録の保存を行う場合の基準として講じなければならない措置」
厚生労働省のe-文書省令(平成17年厚生労働省令第44号)第4条第4項第1号(見読性)・第2号(真正性)・第3号(保存性)
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 企画管理編1.1.2で施行通知 第二2(3)の3条件を再掲

医療分野で三原則が示されたのは、平成11年4月22日付けの厚生省の通知「診療録等の電子媒体による保存について」です。平成11年10月の解説書は、3つの基準は平成8年の高度情報通信社会推進本部 制度見直し作業部会の報告書にある「真正性、見読性及び保存性」を基本にしたとし、真正性・見読性・保存性の確保を条件に電子媒体での保存を認めたとしています。この通知は、平成17年の施行通知で「廃止する」とされ、いまの根拠は上の表の通知と省令に移っています。

施行通知は、対象になる文書として、医師法第24条の診療録、療担規則第9条の診療録等(作成は第22条)、処方せんなどを挙げています。保存期間(診療録は5年など)は カルテの保存期間の記事 で説明しています。

真正性:電子カルテで確かめること

真正性は、誰が・いつ書いて・いつ直したかを後から追える仕組みで確保します。ガイドラインのQ&A(企画管理編 Q36)は、クラウド型の電子カルテでも利用者の操作(トランザクション)ごとの電子署名は「一律には必須ではありません」としたうえで、電子署名を省略する場合も、利用者識別・確定時刻・変更履歴・監査ログなどで真正性を確保する必要があるとしています。具体的には、システム運用編 Q36・Q37が、入力者と確定者を識別・認証し、更新の前後の内容と順序が分かる履歴を残すよう求めています。

  • ログインする人を1人ずつ識別できる
  • 記録を確定した人と確定した時刻が残る
  • 修正の前後の内容と、修正した人・日時が残る(上書きで消えない)
  • タイムスタンプにパソコンの時計の時刻をそのまま使わない(Q&A 企画管理編 Q39は、タイムスタンプはパソコンの時間と同じでよいかという問いに、第三者による検証可能性が担保されないとして、信頼できる時刻源と同期させるよう求めています)

災害などで一時的に紙で記録し、あとから電子カルテに入力する場合について、Q&A(企画管理編 Q33)は、適切な安全管理をしていれば問題ないとし、紙の記録を原本として保存して、後日入力の入力者・日時・元の記録との対応を記録するよう求めています。電子署名とHPKIカードの関係は HPKIの記事 にまとめています。

見読性:電子カルテで確かめること

見読性は、必要なときにすぐ表示・印刷できる状態を保つことです。Q&A(システム運用編 Q6)は、保存した情報と、表示・印刷に必要なソフトウェア・マスタ・設定を対応付け、定期的に見読性を確かめるよう求めています。ソフトウェアやマスタのサポート終了も見読性のリスクになるとしています。

提供会社の倒産やサポート終了について、Q&A(企画管理編 Q24)は、直ちに見読性が失われたことにはならないものの、標準形式での出力、代替ソフトへの移行、契約終了時の支援をあらかじめ確保する必要があるとしています。標準形式の例として、Q&A(システム運用編 Q7)は、文書はPDF/A、表形式はCSV、医用画像はDICOMを挙げています。

保存性:電子カルテで確かめること

保存性は、保存期間中に記録が消えたり読めなくなったりしないようにすることです。Q&A(システム運用編 Q5)は、互換形式での出力、媒体の移行、バックアップ、復元試験を行うよう求めています。

数字バックアップの3-2-1ルール(ガイドライン Q&A システム運用編 Q24)
  • 3世代以上データを保持する推奨
  • 2種類以上異なる媒体に保存推奨
  • 1つ以上本番環境と分離した場所推奨

Q&A(システム運用編 Q24)は、バックアップを本番環境から分離し、定期的に復元試験を行うよう求めています。クラウド型の電子カルテを使う場合、Q&A(システム運用編 Q22)は、オフラインで保管していることが提供会社との契約書などに書かれているかも確かめるよう求めています。

診療所が用意するもの:運用管理規程

施行通知の「第三 留意事項」は、施設の管理者が運用管理規程を定め、それに従って実施することを求めています。規程に定める事項は次の3つです。

  • 運用管理を総括する組織・体制・設備に関する事項
  • 患者のプライバシー保護に関する事項
  • その他適正な運用管理を行うために必要な事項

ガイドライン第7.0版で診療所が押さえる点は 安全管理ガイドライン第7.0版の記事 にまとめています。電子カルテを選ぶときは、更新履歴・確定者の記録・標準形式での出力・バックアップの方法を、製品の資料や契約書で確かめてください。製品は 電子カルテの比較 と 無床診療所のページ で見られます。

  1. 1

    MAPs for CLINIC4.5/5

    株式会社EMシステムズ・電子カルテ

    ¥20,000〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋整形外科・耳鼻咽喉科・小児科ほか2

    レセコン機能を一体で持つ診療所向けのクラウド電子カルテで、ORCAとの連携も選べる。初期ライセンスは無料の月額制で、Web予約・問診やレセプトチェックの機能を含む。

  2. 2

    Medicom クラウドカルテ4.5/5

    ウィーメックス株式会社・電子カルテ

    ¥24,800〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋

    ウィーメックスのクリニック向けクラウド型電子カルテで、レセコン機能を一体で備える。Basicプランは初期費用と月額を公式に示しており、Premiumプランは見積りとなる。

  3. 3

    エムスリーデジカル4.5/5

    エムスリーデジカル株式会社・電子カルテ

    ¥11,800〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋

    クラウド型の電子カルテで、レセコン一体型プランとORCA連動型プランから選べる。ブラウザで動作し、電子処方箋に対応している。

  4. 4

    CLIUS(クリアス)4.0/5

    株式会社DONUTS・電子カルテ

    ¥12,000〜/月無料で試せるクラウド電子処方箋小児科・在宅医療

    DONUTSのクリニック向けクラウド型電子カルテで、レセコンにはWEB ORCAを使う。導入作業込みの通常プランと、自分で設定するDirectプランがあり、歯科・鍼灸院・接骨院は対象外。

  5. 5

    CLINICSカルテ3.5/5

    株式会社メドレー・電子カルテ

    料金は問い合わせ無料で試せるクラウド電子処方箋

    自社開発のレセプト機能と一体になった診療所向けのクラウド電子カルテ。Web予約・問診、自動精算機、検査会社などと連携し、iPadでの手書き記録にも対応する。

編集部スコア順(2026年10月11日時点)。当てはまる56本のうち5本を表示。スコアは機能の優劣ではなく、選ぶための公開情報がそろっているかの目安です(採点方法)。

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よくある質問

電子保存の三原則はどの法令に書かれていますか

厚生労働省のe-文書省令(平成17年厚生労働省令第44号)の第4条第4項第1号〜第3号と、平成17年3月31日の施行通知(医政発第0331009号ほか)の第二2(3)に書かれています。平成11年の通知「診療録等の電子媒体による保存について」は、平成17年の施行通知で廃止されています。

クラウド型の電子カルテでも三原則は必要ですか

必要です。施行通知の三条件は保存する場所を限っていないため、院外のクラウドに保存する場合も、見読性・真正性・保存性を満たす必要があります。ガイドラインのQ&Aは、クラウド型でも操作ごとの電子署名は一律には必須ではないが、利用者識別・確定時刻・変更履歴・監査ログなどで真正性を確保する必要があるとしています。

情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性)とは違いますか

違います。ガイドラインのQ&Aは、三原則(真正性・見読性・保存性)はe-文書法令に基づく電子保存の要件で、機密性・完全性・可用性は情報セキュリティ全般の原則だとしています。両者は対立するものではなく、相互に補完する関係とされています。

紙のカルテをスキャンして保存してもよいですか

e-文書省令の第4条第1項第2号は、書面をスキャナで読み取ってできた電磁的記録で保存する方法を認めています。この場合も、施行通知 第二2(3)の三条件を満たす必要があります。

出典

  1. 厚生労働省「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について」(平成17年3月31日 医政発第0331009号ほか)
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2663&dataType=1&pageNo=1
  2. e-Gov 法令検索「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」
    https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000100044
  3. 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 企画管理編」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001716292.pdf
  4. 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 Q&A」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001752355.pdf
  5. 厚生労働省掲載「診療録等の電子媒体による保存に関する解説書」(平成11年10月)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/etc_doc001.pdf

制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月11日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。

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