電子処方箋は院内処方の診療所も対象|院内処方機能でできることと補助【2026年】

要点
電子処方箋の院内処方機能は、院内処方の医療機関が、院内で処方・調剤・投薬した薬の情報(院内処方等情報)を電子処方箋管理サービスに登録するための機能です。令和7年1月23日に始まり、厚生労働省の概要案内は2026年4月1日に「本格運用開始に伴う修正」をしています。登録に電子署名は要りません。診療所の導入費の補助の上限は、院外処方機能と同時に入れる場合で35.9万円(令和8年10月以降の導入も同額)、導入済みの施設が後から追加する場合で10.8万円です(いずれも事業額の1/2。10.8万円は補助金の資料の額で、令和8年9月29日のワーキンググループ資料の10月以降の表には載っていません)。
院内処方の診療所も電子処方箋の対象になった
院内処方の診療所も、院内処方機能を入れれば電子処方箋管理サービスを使えます。電子処方箋は、これまで院外処方箋だけを扱っていましたが、厚生労働省の電子処方箋のページは、令和7年1月23日から院内処方等情報の登録機能も始まったとしています。
院内処方機能の概要案内(1.4版)の改訂履歴では、2025年1月22日の初版が「プレ運用対応」、2026年4月1日の1.3版が「本格運用開始に伴う修正」とされています。
- 概要案内の初版(プレ運用対応)2025年1月22日
- 院内処方等情報の登録機能が始まる令和7年1月23日
- 本格運用開始に伴う改訂(1.3版)2026年4月1日
院内処方機能でできること
院内処方機能を入れると、院内で出した薬の情報がほかの医療機関・薬局からも見えるようになり、自院でもほかで出た薬の情報を見られます。厚生労働省の電子処方箋のページと概要案内は、次のことを挙げています。
- 院内処方を行う病院・診療所でも、電子処方箋管理サービスに登録された処方・調剤の情報を参照できる
- 院内処方等の情報も使って、重複投薬等チェックができる
- 自院が登録した院内処方等情報を、ほかの病院・診療所や薬局が参照できる
- 患者さんもマイナポータルなどから院内処方等情報を見られる(電子版お薬手帳アプリで見られるかは、アプリ事業者の対応による)
- 院内処方の診療所処方・調剤・投薬
- 登録
- 電子処方箋管理サービスDX審査支払機構
- 参照
- ほかの医療機関・薬局患者の同意が前提
概要案内は、他院や薬局で出た薬の情報を見ることで、入院時の持参薬の確認を効率化できることや、外来で院内処方をするときの判断に使えることを、院内処方が中心の医療機関の利点として挙げています。
令和8年7月1日の第10回電子処方箋等検討ワーキンググループの資料は、救急時医療情報閲覧機能の「救急用サマリー」に、院内処方等情報を追加する方針を報告しています。
登録する薬と電子署名
院内処方等情報の登録には、電子署名は要りません(付けても登録はできます)。院外処方の電子処方箋は医師が電子署名をする必要がありますが、院内処方等情報の登録は扱いが違います。
どの薬を登録するかについて、概要案内は、手術・検査で使う薬も院内処方の薬に含まれるものの、電子処方箋管理サービスには「薬物治療を目的とした薬剤」を登録するのを基本方針としています。ただし、その範囲を一概に決めるのは難しいため、それ以外の薬の情報も登録できるとしています。
改修するシステムは、電子カルテや部門システムなどのうち、その薬の情報を管理しているシステムが基本です。
受付の画面の設定
院内処方しか行わない診療所は、受付の顔認証付きカードリーダーに処方箋の発行方法(電子/紙)を選ぶ画面を出さない設定にできます。令和8年度の電子処方箋のオンライン説明会資料は、電子処方箋の導入で、カードリーダーに処方箋の発行方法を選ぶ画面が加わるとしたうえで、電子処方箋管理サービスを使うものの院内処方のみを行う場合は、この画面を表示しない設定も可能としています。
同説明会資料では、重複投薬等チェックは処方箋が電子か紙かに関わらず行い、ほかの医療機関・薬局で出た過去の薬剤情報を見られるのは、患者さんがマイナンバーカードでの受付で同意した場合とされています。
補助の上限
院内処方機能の補助は、院外処方機能と同時に入れるか、後から追加するかで上限が違います。厚生労働省の補助金の資料では、診療所は次のとおりです。
| 導入のしかた | 事業額の上限 | 補助率 | 補助の上限 |
|---|---|---|---|
| 院外処方機能と院内処方機能を同時に初期導入 | 71.7万円 | 1/2 | 35.9万円 |
| 電子処方箋を導入済みの施設が院内処方機能を追加 | 21.5万円 | 1/2 | 10.8万円 |
- 35.9万円院外と同時に初期導入事業額71.7万円の1/2
- 10.8万円導入済みの施設が追加事業額21.5万円の1/2
令和8年9月29日のワーキンググループ資料は、医療機関の補助の対象となる導入期限を令和9年3月まで延長し、令和8年10月以降に導入する診療所も「院外処方機能+院内処方機能」の上限は35.9万円としています。後から追加する場合(10.8万円)の10月以降の扱いは、この資料の表には載っていません。
院内処方機能の概要案内(1.4版)は、院内処方機能を入れた場合の補助を、令和9年1月15日までに医療機関等向け総合ポータルサイトから申請するよう案内しています。申請の前に、総合ポータルサイトの補助金のページで最新の期限を確かめてください。延長の経緯と申請の流れは電子処方箋の補助金:診療所の上限と導入期限にまとめています。
導入の進め方
院内処方機能の導入は、システム事業者への相談から始めます。概要案内のQ&Aは、どのシステムを改修するか検討し、見積もりを取るところから始めるよう案内しています。
- システム事業者に相談する改修するシステムを決める
- 見積もりを取って発注する院外処方機能と同時か後付けか
- 導入して運用を始める登録する薬の範囲を確かめる
- 補助金を申請する総合ポータルサイト
導入の手順の詳しい資料(準備作業の手引き)と導入後の業務の資料(運用マニュアル)は、医療機関等向け総合ポータルサイトに載っていると概要案内は案内しています。
令和8年6月から実施の電子的診療情報連携体制整備加算では、電子処方箋を発行・登録する体制の有無で区分が分かれます(体制が無い場合の区分は加算3。説明会資料)。疑義解釈(その4 問1)は、院内処方を行う場合の体制を、原則として医療機関内で調剤した薬剤の情報を電子処方箋管理サービスに登録していることとしています。区分ごとの要件は電子的診療情報連携体制整備加算とはにまとめています。
電子処方箋への対応を公式に記載している電子カルテ
院内処方等情報を登録するには、薬の情報を管理しているシステム(多くは電子カルテ・レセコン)の改修が要ります。掲載している電子カルテのうち、公式サイトで電子処方箋への対応を記載している製品は次のとおりです。院内処方機能に対応しているかは、各社に確かめてください。
ほかの製品も含めて比べるときは電子カルテの比較を、無床診療所向けの情報は無床診療所向けのページを見てください。
よくある質問
院内処方だけの診療所でも電子処方箋を入れる意味はありますか
厚生労働省の概要案内は、院内処方が中心の医療機関でも、ほかの医療機関・薬局で出た薬の情報を見て診察・処方の判断に使えることや、入院時の持参薬の確認を効率化できることを利点として挙げています。自院が登録した情報は、ほかの医療機関・薬局も参照できるようになります。
院内処方等情報の登録にHPKIカードは要りますか
院内処方等情報の登録には電子署名は要らないと、厚生労働省の院内処方機能の概要案内に書かれています。院外処方で電子処方箋を発行するときは電子署名が要ります。署名の方法はHPKIカードとセカンド電子証明書の違いにまとめています。
電子処方箋を入れている診療所が院内処方機能を後から足すと補助はありますか
厚生労働省の補助金の資料では、電子処方箋を導入済みの施設が院内処方機能を追加する場合、診療所は事業額21.5万円の1/2、10.8万円を上限に補助するとされています(電子処方箋の機能拡充の促進事業)。令和8年10月以降の導入の扱いは、総合ポータルサイトで確かめてください。
出典
- 厚生労働省「電子処方箋」
https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html - 厚生労働省「電子処方箋(院内処方機能)概要案内【病院・診療所/薬局】1.4版」(令和8年10月)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001381030.pdf - 厚生労働省「医療情報化支援基金等(①電子処方箋、②電子処方箋の機能拡充の促進事業)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001208233.pdf - 厚生労働省「第11回電子処方箋等検討ワーキンググループ 資料1」(令和8年9月29日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001753149.pdf - 厚生労働省「第10回電子処方箋等検討ワーキンググループ 資料1」(令和8年7月1日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001717124.pdf - 厚生労働省「令和8年度電子処方箋オンライン説明会資料」(令和8年7月14日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001723369.pdf - 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その4)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001694332.pdf
制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月10日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。



