医療広告ガイドラインのNG表現:クリニックのホームページで書いてはいけない言葉【2026年】

要点
医療広告ガイドラインのNG表現は、医療法第6条の5と医療法施行規則第1条の9が禁じる広告、つまり虚偽広告・比較優良広告・誇大広告・公序良俗に反する広告・治療の効果などに関する体験談・患者を誤認させるおそれがある術前術後の写真などのことです。クリニックのホームページも規制の対象で、2026年10月時点の最新版(令和8年3月30日最終改正)とQ&A(令和8年3月改定)では、「最高」のような最上級の表現や「最先端」「最適」は不可、「最新」は事実で根拠を示せる場合に限り可とされています。厚生労働省のネットパトロール(令和7年度、2026年2月28日時点)では、審査した2,092サイトのうち1,842サイトに違反があり、違反の数は5,225件でした。
クリニックのホームページは医療広告に当たるか
クリニックのホームページは、医療広告に当たります。ガイドラインは、次の3つの要件をすべて満たすものを医療広告と判断するとしています。
- 受診を誘う意図があるか誘引性
- 名称が特定できるか特定性
- 医業や診療所に関する内容か3つとも満たせば医療広告
- ホームページは、平成29年の医療法改正で規制の対象になりました。Q&Aによると、この改正は平成30年6月1日に施行されています
- 「これは広告ではありません」と書いても、名称などから医療機関が特定でき、実質的に誘引性と特定性を満たせば広告として扱われます
- 規制の対象は医療機関だけではありません。医療法第6条の5は「何人も」と定めており、ガイドラインは広告代理店やアフィリエイターも含まれるとしています
- 院内の掲示や院内で配るパンフレット、職員の求人広告は、誘引性が無いため通常は広告に当たらないとされています
書いてはいけない表現の種類
書いてはいけない表現は、法律と省令が禁じる6つの広告と、広告できる事項以外の広告です。種類ごとに、ガイドラインとQ&Aの例をまとめます。
| 種類 | 根拠 | ガイドライン・Q&Aの例 |
|---|---|---|
| 虚偽広告 | 医療法第6条の5第1項 | 「絶対安全な手術です!」、加工・修正した術前術後の写真、調査の方法を示さずに結果の割合だけを示すもの、保有していないMRIのイメージ画像(Q&A A2-18) |
| 比較優良広告 | 同条第2項第1号 | 「最高」などの最上級の表現、「当院は県内一の医師数を誇ります。」、著名人が推薦している・治療を受けている旨、「最良」「最上」(Q&A A2-3) |
| 誇大広告 | 同条第2項第2号 | 「知事の許可を取得した病院です!」のように当然の許可を強調するもの、「比較的安全な手術です。」、根拠の乏しいリスクを強調して受診を急がせるもの、「最先端」「最適」(Q&A A2-2) |
| 公序良俗に反する広告 | 同条第2項第3号 | わいせつ・残虐な図画や映像、差別を助長する表現 |
| 体験談 | 施行規則第1条の9第1号 | 患者の主観や伝聞による、治療の内容や効果に関する体験談 |
| 術前術後の写真 | 施行規則第1条の9第2号 | 治療の内容や効果を誤認させるおそれがある写真。術前だけ・術後だけの写真も同じ(Q&A A2-8) |
| 広告できる事項以外 | 医療法第6条の5第3項 | 「○○外来」のような専門外来、死亡率・術後生存率、未承認医薬品による治療、新聞や雑誌で紹介された旨 |
比較優良広告について、ガイドラインは、最上級の表現などは客観的な事実であっても禁止されるとしています。最上級でない比較は事実の記載を妨げないものの、求められれば合理的な根拠を示せる必要があり、調査結果を引くときは出典・調査の実施主体・範囲・実施時期を併記する必要があります。
このほか、ガイドラインは「品位を損ねる内容の広告」を厳に慎むべきとしています。例として挙がっているのは、「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」のような費用を強調した広告と、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」のような医療と直接関係ない事項で誘うものです。
「最新」「最先端」「最適」は使えるか
「最新」は条件付きで使えますが、「最先端」と「最適」は使えません。Q&Aは次のように答えています。
| 表現 | Q&Aの答え |
|---|---|
| 最新の治療法・最新の医療機器 | 医学的・社会的な常識の範囲で事実と認められれば、必ずしも禁止されない。求められれば根拠を示し、客観的に実証できる必要がある(A2-1) |
| 最先端・最適 | 誇大広告に当たるため広告できない(A2-2) |
| 最良・最上 | 比較優良広告に当たるため広告できない(A2-3) |
「最新」には注意点があります。Q&Aは、より新しい治療法や機器が定着した後も「最新」と書き続けることや、十数年前のものを「最新」と書くことは、虚偽広告や誇大広告に当たるおそれがあるとしています。何年までを最新とするかの基準は示されていないので、機器を入れ替えたときなどにホームページの記載も見直すことになります。
体験談・口コミの扱い
自院のホームページに、治療の内容や効果に関する患者の体験談を載せることはできません。ガイドラインは、体験談の内容が広告できる範囲のものであっても認められないとしています。
事例解説書(第6版)は、次のような載せ方も規制の対象になる例として挙げています。
- 口コミサイトの口コミを自院のサイトに転載する。都合のよい口コミだけを抜き出して載せるのは虚偽広告・誇大広告に当たる
- 院長やスタッフ自身の体験談や、スタッフが患者の体験を代わりに書いた文章
- 医師の症例紹介の中に、患者の主訴として治療の効果の感想を書き込んだもの
一方、患者が個人のSNSや第三者の口コミサイトに書いた感想は、医療機関が費用を負担して掲載を頼んでいるなどの誘引性が無ければ、広告に当たらないとされています(Q&A A2-11)。ただし事例解説書は、医療機関を探せるサイトの運営者が、医療機関の依頼で体験談を書き換えたり、否定的なものを削除したり、肯定的なものを上に表示したりした場合は医療広告に当たるとしています。
術前術後の写真と費用の書き方
術前術後の写真は、説明を付けずに載せることはできません。ガイドラインは、通常必要な治療内容・費用や、主なリスク・副作用などの詳しい説明を付けた場合は禁止の対象に当たらないとしています。
ただし、条件があります。
- 説明は写真を見る人に分かりやすい場所に載せる。リンク先のページに載せたり、利点の説明と比べて極端に小さな文字で載せたりする形は採れない
- 治療の効果は広告できる事項ではないため、後で述べる限定解除の要件を満たさない広告では、術前術後の写真は載せられない
- 事例解説書は、ホームページのバナー画像や公式SNSに説明なしの写真を載せる例も、注意が必要な事例に挙げている
書けない
ホームページでも不可
- 「最高」などの最上級・県内一
- 「最先端」「最適」「最良」
- 治療の効果に関する体験談
- 説明の無い術前術後の写真
条件付きで書ける
条件を満たせば可
- 「最新」:事実で根拠を示せる
- 調査結果:出典・実施主体・範囲・時期を併記
- 費用:太字・下線は可
- 術前術後の写真:詳しい説明を付ける
費用の書き方について、Q&A(A2-5)は、費用は患者にとって有益な情報であり、分かりやすく太字にしたり下線を引いたりすることは差し支えないとしています。避けるべきなのは、費用を前面に押し出した広告です。事例解説書は、キャンペーンや割引、会員向けの割引を強調した記載を、品位を損ねる広告の例に挙げています。
ホームページで「限定解除」できる範囲
ホームページは、4つの要件を満たせば、広告できる事項以外のこと(専門外来、治療の効果など)も載せられます。これを広告可能事項の限定解除といい、要件は施行規則第1条の9の2に定められています。
- 患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであること
- 問い合わせ先(電話番号・メールアドレスなど)を示すこと
- 自由診療の場合は、通常必要な治療の内容・費用などを示すこと
- 自由診療の場合は、主なリスク・副作用などを示すこと
バナー広告や、検索サイトに費用を払って表示させるリスティング広告は、1つ目の要件を満たしません。そのため、こうした広告には広告できる事項以外は載せられません。限定解除しても、虚偽・比較優良・誇大・体験談などの禁止は外れない点も押さえておきます。
オンライン診療をしている旨は広告できます(Q&A A3-27)。令和8年4月1日に施行された改正医療法(令和7年法律第87号)で設けられたオンライン診療受診施設の広告ルールなど、法改正の全体はオンライン診療と医療法改正2026の記事で整理しています。
違反するとどうなるか
違反が見つかると、まず都道府県や保健所設置市などから行政指導を受けるのが通常の流れです。ガイドラインは、任意の調査と行政指導で広告の中止や是正を求め、従わない場合などに命令や告発に進む手順を示しています。
| 段階 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 報告命令・立入検査 | 医療法第6条の8第1項 | 報告を怠る・虚偽の報告・検査の拒否は20万円以下の罰金(第89条第2号) |
| 中止命令・是正命令 | 医療法第6条の8第2項 | 期限を定めて広告の中止や是正を命じる。命令に違反すると6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第87条第3号) |
| 虚偽広告 | 医療法第6条の5第1項 | 違反すると6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第87条第1号) |
悪質な場合について、ガイドラインは、管理者の変更命令や、開設許可の取消し・閉鎖命令といった行政処分も考えるべきとしています。命令の対象は、診療所の場合は開設者か管理者です。中止命令や是正命令、刑事告発をしたときは、原則として事例を公表するとされています。
ネットパトロールで多い違反
厚生労働省のネットパトロールで最も多い違反は、広告できる事項以外の広告です。令和7年度の概況(2026年2月28日時点)は次のとおりです。
- 2,092サイト審査したサイト違反なしは250サイト
- 1,842サイト違反があったサイト通報受付と能動監視
- 5,225件違反の数1サイト平均約2.8件
- 1,595件広告できる事項以外違反の種類で最多
| 違反の種類 | 件数 |
|---|---|
| 虚偽広告 | 146件 |
| 比較優良広告 | 484件 |
| 誇大広告 | 1,215件 |
| 広告できる事項以外の広告 | 1,595件 |
| 治療の内容・効果に関する体験談 | 274件 |
| 術前術後の写真等 | 745件 |
| その他(費用の強調、医療と関係ない事項での誘引) | 766件 |
公序良俗に反する広告は0件でした。分野別では美容が803サイト・2,486件と多いものの、内科系も258サイトで568件の違反が数えられています。資料は、広告できる事項以外の広告を、限定解除の要件(費用・リスクなどの明記)を満たさないまま載せている違反と説明しています。
開業準備でホームページを作る方は、公開前にこの表の種類ごとに原稿を見直すと漏れを減らせます。開業までの準備は開業準備のページ、無床診療所向けの情報は無床診療所のページにまとめています。ホームページからWeb予約を受け付ける場合は、予約を受けた後の院内の体制も合わせて考えることになるので、電子カルテの比較もあわせて見てください。オンライン診療の施設基準との関係は、診療報酬改定2026の記事で整理しています。
よくある質問
ホームページ制作会社が作った表現でも、クリニックの責任になりますか
なります。医療法の広告規制は「何人も」が対象で、命令の対象は診療所の場合は開設者か管理者です。ガイドラインは、広告を企画・制作した広告代理店なども、広告を依頼した者とともに指導の対象になり得るとしています。
「医療広告ガイドラインを守っています」と書いてもよいですか
控えたほうが無難です。Q&A(A6-13)は、ガイドラインを守っていることは特に強調すべきことではなく、過度な記載は誇大広告に当たる可能性があるとしています。厚生労働省のシンボルマークも、厚生労働省の資料を転載する場合などに限られ、それ以外の目的では使えません。
院長のあいさつ文やキャッチコピーは書けますか
書けます。Q&A(A1-6)は、「開院○周年」のような広告できる事項や、「はじめまして」のような医療の内容とは考えにくいあいさつ文を使ったものは広告できるとしています。
違反しているか迷ったときは、どこに相談しますか
クリニックを所管する都道府県・保健所設置市などの自治体や保健所です。Q&A(A5-1)は、厚生労働省のホームページに問い合わせ窓口の一覧が載っていると案内しています。
出典
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/001683594.pdf - 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(令和8年3月改定)
https://www.mhlw.go.jp/content/001683595.pdf - 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」(令和8年3月作成)
https://www.mhlw.go.jp/content/001683116.pdf - 厚生労働省医政局総務課「ネットパトロール事業について(令和7年度)」(第7回医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会 資料2、令和8年3月26日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001680058.pdf - e-Gov法令検索「医療法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - e-Gov法令検索「医療法施行規則」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050 - 厚生労働省「医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等について(オンライン診療関係)」(医政発0327第5号、令和8年3月27日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001681277.pdf
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