オンライン診療の医療法改正2026|令和8年4月施行で診療所が対応すること【2026年】

要点
オンライン診療の医療法改正は、これまで指針(通知)で運用してきたオンライン診療を医療法に位置づけ、令和8年4月1日から施行規則の「オンライン診療基準」に従って行うことを義務にした改正です。診療所に求められるのは、開設届の届出事項への「オンライン診療を行う旨」の追加、基準に適合して行っている旨のウェブサイトか院内掲示での公表、オンライン診療をする医師に研修などで必要な知識を身につけさせる措置の3つが中心です。令和8年4月1日の時点ですでにオンライン診療をしている診療所は、令和9年3月31日までは開設届の変更の届出が要りません(2026年10月時点で公表されている厚生労働省の通知・Q&Aによる)。
何が変わったのか
いちばん大きな変化は、指針の「最低限遵守する事項」を基本に省令の基準が定められ、違反に都道府県知事などが是正命令を出せるようになったことです。医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)は令和7年12月12日に公布され、オンライン診療関係の部分は令和8年4月1日に施行されました。あわせて医療法施行規則などを改める省令が令和8年3月27日に公布され、同じ4月1日から施行されています。
これまで
指針・通知の解釈運用
- 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で最低限遵守する事項を示す
- 公衆や特定多数人の患者が受ける場所には診療所などの開設が必要
令和8年4月から
医療法・施行規則の基準
- 指針の最低限遵守する事項を基本に、施行規則で基準を定める
- 違反には都道府県知事などが是正命令などを出せる
- オンライン診療受診施設が医療提供施設の1つになる
医療法の第2条の2は、オンライン診療を「…映像及び音声の送受信により、医師又は歯科医師及び遠隔の地にある患者が相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法による診療」と定義しました。第14条の3は、厚生労働大臣が省令で基準を定め、オンライン診療はその基準に従って行わなければならないとしています。
基準で定める事項は、法律で次の5つとされています。
| 号 | 基準で定める事項(医療法第14条の3第2項) |
|---|---|
| 一 | 病院・診療所に必要な施設・設備と人員の配置 |
| 二 | 患者がオンライン診療を受ける場所 |
| 三 | 患者に行う説明 |
| 四 | 他の医療機関との連携など、病状の急変に備えた体制 |
| 五 | その他オンライン診療の適切な実施に必要な事項 |
オンライン診療基準の中身
オンライン診療基準は、医療法施行規則の第9条の6の3から第9条の6の19までに置かれ、指針の「最低限遵守する事項」を基本にしています。診療所の日々の運用に関わる主な条文は次のとおりです。
| 条文 | 内容(要約) |
|---|---|
| 第9条の6の4 | オンライン診療の前に対面で医学的評価をし、診療計画を定めて2年間保存する。初診からオンライン診療をして継続する見込みがあるときは、できるだけ早く診療計画を定める |
| 第9条の6の5 | 医師と患者が互いに本人確認をする。医師は自らの氏名を示し、医師の資格を患者が確かめられる環境を整える |
| 第9条の6の6 | 開始前に利点・不利益や診療計画などを説明し、患者が希望していることを明示的に確かめ、合意がある場合に限り行う |
| 第9条の6の8 | (かかりつけの医師を除き)対面診療に移れる体制と、急変時に対面診療を受けられる体制を確保する |
| 第9条の6の11 | 同時に複数の患者にオンライン診療をしてはならない |
| 第9条の6の13 | 服薬中の医薬品を確かめる。初診や、その症状で対面診療を経ていない場合は、麻薬・向精神薬などの処方をしてはならない |
| 第9条の6の14 | 医師は病院・診療所に所属し、問い合わせ先を明らかにする。物理的に外部から隔離された空間で行う |
| 第9条の6の16 | 患者が受ける場所は清潔かつ安全で、物理的に外部から隔離された空間とする |
初診などで処方できない薬の範囲はオンライン診療の初診で処方できない薬の記事で詳しく説明しています。
指針そのものも令和8年4月に改訂されました。改訂の概要では、医療法と用語をそろえたほか、次の点が変わっています。
- 「診療前相談」がオンライン診療の前段階で行うもので、指針の対象であることを明確にした
- 対面診療につなぐ体制の具体例(地域の医療機関との連携体制、対面受診が可能な医療機関への連絡・診療情報の提供など)を示した
- システム事業者の通信の暗号化を「TLS1.2以上」から「TLS1.3以上、やむを得ず1.2を用いる場合は十分な暗号強度とするよう留意」に改めた
- 患者の本人確認の書類の例から健康保険証(被保険者証)を外し、医療保険者の発行する資格確認書を加えた
オンライン診療でマイナ保険証による資格確認をする方法は居宅同意取得型の記事にまとめています。
開設届にオンライン診療の旨を加える
病院・診療所を開設したときに届け出る事項に、「その勤務する医師又は歯科医師がオンライン診療を行うときはその旨」が加わりました。開設の許可を受けた者の届出は施行規則第3条第1項第5号、医師が開設した診療所の届出は第4条第3号です。届け出た事項に変更が生じたときも、10日以内の届出が必要です。
ただし、令和8年4月1日の時点ですでに勤務する医師がオンライン診療をしている病院・診療所の開設者は、令和9年3月31日までは、この変更の届出が要りません(改正省令附則第3条)。厚生労働省の通知は、この変更の届出を、医療機能情報提供制度の定期報告と同じ時期に行うことが考えられるとしています。定期報告は、原則として毎年1月1日から3月31日までのうち都道府県が設定する期間に、G-MIS(医療機関等情報支援システム)で行うものです。
- 4月1日施行日令和8年
- 10日以内開設届の事項の変更の届出オンライン診療を行う旨
- 令和9年3月末変更届が要らない期限4月1日時点で実施中の場合
- 2年間診療計画の保存施行規則第9条の6の4
管理者が講じる措置と公表
診療所の管理者には、勤務する医師のオンライン診療を基準に適合させるための措置が義務づけられました(医療法第14条の4)。施行規則第9条の6の20が定める措置は次の2つです。
- オンライン診療をする医師に、必要な知識と技能を身につけさせる指導などの措置を講じる。通知は、厚生労働省が定める研修(医師は「オンライン診療を行う医師向けの研修」など)を受講させることを想定しています
- 医師がオンライン診療受診施設にいる患者を診るときは、その施設が基準に適合しているかを確かめ、確かめられなければオンライン診療を中止するなどの措置を講じる
研修は、指針でも2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならないとされています。
公表も施行規則に入りました。第9条の6の15は、オンライン診療を行う病院・診療所の管理者が、オンライン診療基準に適合して行っている旨をウェブサイトか院内の掲示などで公表し、使うシステムの情報セキュリティの確保や患者への説明などの措置を講じるとしています。医療機関向けのチェックリストは、ホームページにチェックリストを公表することも考えられるとしています。
- 施行規則の基準と運用を照らし合わせる第9条の6の3〜19
- チェックリストに自院の状況を記入する医政発0327第5号 別添3
- 適合している旨を公表するウェブサイトか院内掲示
- 医師に研修を受けさせる厚生労働省が定める研修
- 開設届の変更を届け出る実施中なら令和9年3月31日まで不要
チェックリストを公表するときは、Q&A(問6)が、事実と異なることがないよう定期的に内容を見直す必要があり、オンライン診療の内容に虚偽が含まれる場合は広告規制の違反(医療法第6条の5第1項)を問われることが考えられるとしています。Webサイトの表現全般は医療広告ガイドラインのNG表現の記事で扱っています。
診療報酬の側でも、情報通信機器を用いた診療の施設基準に、このチェックリストのウェブサイト掲示が入っています。施設基準と点数は診療報酬改定2026の医療DX・オンライン診療の記事にまとめています。
立入検査と是正命令
都道府県知事などは、オンライン診療について、自由診療の場合も含め、病院・診療所とオンライン診療受診施設に報告徴収・立入検査・是正命令などを行えます(医療法第24条の2・第25条など)。第24条の2は、業務が法令に違反するなどのときに期限を定めて必要な措置を命じ、従わないときは業務の全部または一部の停止を命じることができるとしています。
通知は、立入検査をする都道府県などの職員に、医療機関が記入した別添3のチェックリストを使って基準の遵守状況を確かめるよう求めています。チェックリストは公表のためだけでなく、検査のときに見られる書類でもあります。
医療機関と患者・受診施設の所在地の都道府県が異なるときは、都道府県どうしの連携が必要になりうるとされています。受診施設に問題があると疑われる場合は、その施設を使っている医療機関の所在地の都道府県なども、医療機関に情報提供や立入検査などを行うことが想定されています。
オンライン診療受診施設との関係
オンライン診療受診施設は、設置者が業として、オンライン診療をする医師が勤務する病院・診療所などに、患者がオンライン診療を受ける場所として提供する施設です(医療法第2条の2第2項)。これまでは、公衆や特定多数人の患者がオンライン診療を受ける場所では診療所などの開設が必要でしたが、施行後は、その場所が受診施設で、医師がオンライン診療のみを行う場合は、診療所の開設がなくても医師と勤務先の診療所の責任のもとで行えるようになりました。
診療所の側で押さえておくことは次の3つです。
- 受診施設にいる患者を診るときは、管理者が施設の基準への適合を確かめる(施設が記入したチェックリストで確かめられるとされています)
- 協定・契約を結んだ受診施設で受診している場合は、その施設を診療録に記録するなど適切な方法で記録することが望ましいとされています
- 受診施設では対面診療(D to P with D を含む)や入院はできません(Q&A 問13)
設置届の様式・期限・罰則など受診施設の詳細はオンライン診療受診施設の記事で説明しています。
オンライン診療と連携する電子カルテを検討する場合は電子カルテの比較を、無床診療所の方は無床診療所のページも参考にしてください。
よくある質問
すでにオンライン診療をしている診療所は、オンライン診療受診施設の届出が必要ですか
必要ありません。Q&A(問9)は、これまでオンライン診療を行っていた病院・診療所や居宅などで、改めて受診施設の届出をする必要はないとしています。受診施設の届出が要るのは、設置者が業として、医療機関に患者がオンライン診療を受ける場所を提供する場合です。
自由診療だけのオンライン診療も対象ですか
対象です。通知は、都道府県知事などがオンライン診療について、自由診療の場合も含めて報告徴収・立入検査・是正命令などを行えるとしています。Q&Aは、オンライン診療で美容医療を行う医師に、患者の主訴や希望する処置などを診療録に記載することの徹底も求めています。
研修を受けていない医師がオンライン診療をしてもよいですか
指針は、2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならないとしています。施行規則も、管理者に、医師に必要な知識と技能を身につけさせる措置を求めています。災害のときは、研修を受けていない医師によるオンライン診療を認める通知などが出される場合があるとされています。
これから新しくオンライン診療を始めるときは、どう届け出ますか
開設届の届出事項に変更が生じたときの届出として、10日以内に所在地の都道府県知事など(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)に届け出ます。令和9年3月31日まで届出が要らないのは、令和8年4月1日の時点ですでにオンライン診療をしていた病院・診療所の開設者に限られます。
出典
- 厚生労働省「医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等について(オンライン診療関係)」(医政発0327第5号、令和8年3月27日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001681277.pdf - 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和8年4月改訂)
https://www.mhlw.go.jp/content/001685701.pdf - 厚生労働省「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」改訂の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001686034.pdf - 厚生労働省「オンライン診療に関するQ&A」(令和8年3月作成)
https://www.mhlw.go.jp/content/001681026.pdf - 厚生労働省「(医療機関向け)基準等遵守の確認をするためのチェックリスト」
https://www.mhlw.go.jp/content/001681020.pdf - e-Gov法令検索「医療法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - e-Gov法令検索「医療法施行規則」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050 - 厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第7号)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757361.pdf
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