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電子カルテ情報共有サービスとは|3文書6情報・4つのサービスと診療所の準備【2026年】

クリニックツールナビ編集部公開

要点

電子カルテ情報共有サービスは、患者が受診のときにマイナ保険証で受付をして情報の提供に同意すると、医療機関で記録された電子カルテ情報の一部を、全国のほかの医療機関等で閲覧できる国の仕組みです。共有するのは「3文書6情報」(診療情報提供書・退院時サマリー・健康診断結果報告書と、傷病名・薬剤アレルギー等・その他アレルギー等・感染症・検査・処方の情報)で、診療録(SOAP)の所見やメモがすべて共有されるわけではありません。令和7年2月からモデル事業が始まり、令和8年度冬頃からの全国での運用開始を目標にしていて、利用にはオンライン資格確認の導入が前提です(2026年10月時点の厚生労働省の概要案内(令和8年7月)・ワーキンググループ資料(2026年9月10日)・医療機関への補助の資料による)。

電子カルテ情報共有サービスとは

電子カルテ情報共有サービスは、「全国医療情報プラットフォーム」の仕組みの1つで、全国の医療機関や薬局などで患者の電子カルテ情報を共有するためのものです。

関係情報の流れ(臨床情報の例)
  1. 登録する医療機関電子カルテから登録
  2. 登録
  3. 情報共有サービスオンライン資格確認と連携
  4. 同意した項目
  5. 閲覧する医療機関マイナ保険証で受付
  • 医療機関等で閲覧できるのは、患者が同意した項目に限られます。利用目的の外で患者の医療情報を閲覧することは認められていません
  • サービスに登録された情報は、患者本人もマイナポータルで確認できます

提供される4つのサービス

厚生労働省は、提供するサービスを次の4つとしています。

サービス内容同意の取り方
文書送受信サービス診療情報提供書(紹介状)を紹介先の医療機関等に電子で送る。退院時サマリーなどを添付できる送る前に口頭で患者の同意を得る
健診文書登録・閲覧サービス健康診断結果報告書を登録し、本人・全国の医療機関等・加入する医療保険者が閲覧する登録時は書面等で同意、医療機関等での閲覧時はマイナ保険証で本人確認・同意
臨床情報登録・閲覧サービス傷病名・検査・感染症・アレルギー等を、全国の医療機関等や患者が閲覧するマイナ保険証での本人確認・同意
患者サマリー登録・閲覧サービス医師から患者への療養上のアドバイスを、患者がマイナポータルで閲覧する—

共有される3文書6情報

共有される情報は「3文書6情報」と呼ばれます(6情報の並びは、厚生労働省の医療機関への補助の資料と実施要領による)。

比較3文書6情報

3文書

  • 診療情報提供書
  • 退院時サマリー
  • 健康診断結果報告書

6情報

  • 傷病名
  • 薬剤アレルギー等
  • その他アレルギー等
  • 感染症
  • 検査(救急、生活習慣病)
  • 処方
  • 感染症は、梅毒・HBV・HCV・HIVの検査結果を登録・閲覧できます。感染症の情報は登録のあと、ほかの医療機関等だけが閲覧でき、医師等が「患者共有」の操作をするまで患者には表示されません
  • 検査は、43項目の検査結果を登録・閲覧できます
  • 概要案内は、患者サマリーで閲覧できる処方の情報の出どころを電子処方箋管理サービスとしていて、処方は電子処方箋管理サービスの情報と組み合わせて表示されます
  • アレルギー等は「重篤なアレルギー等」が対象です。まずはアナフィラキシー(疑いを含む)を登録の対象とし、劇症肝炎などの重篤な症状も、ほかの医療機関等に共有すべきと医師等が判断すれば登録できます
  • 傷病名は、電子カルテに記録されている傷病名をすべて登録する方針です。ただし、ほかの医療機関等や患者に共有するのが適さないと医師が判断した傷病名は、登録しなくてもよいとされています。患者には、傷病名ごとに患者共有の設定をしたものだけが共有されます

情報の保存期間

サービスに登録した情報の保存期間は、情報の種類で違います。起算日は、サービスに登録した日付です。

情報保存期間(登録日から)
診療情報提供書・退院時サマリー180日間(紹介先の医療機関が受け取った後は1週間程度で自動消去)
健診文書5年間
傷病名・薬剤アレルギー等・その他アレルギー等・感染症5年間(長期保存フラグで長く保存できる)
検査1年間か直近3回分(直近3回分は期間に関わらず保存)
患者サマリー180日間

診療所が自院で保存するカルテの保存期間は、これとは別に法令で決まっています(カルテの保存期間は5年)。

電子署名は必要か

厚生労働省は、なりすまし・否認の防止や責任の所在をはっきりさせる観点から電子署名は重要としたうえで、このサービスでは医療機関の判断で電子署名を行わなくても共有できるとしています。電子署名に使うHPKIについてはHPKIのセカンド電子証明書にまとめています。

いつから使えるか

全国での運用開始は、令和8年度冬頃が目標です。

手順運用開始までの予定(案)(2026年9月の厚生労働省資料)
  1. モデル事業令和7年2月から順次
  2. サービス基盤の改修のリリース令和8年9月頃
  3. 検証用の技術解説書で再度の検証令和8年10月から
  4. 運用開始用の技術解説書を公開令和8年度冬頃の予定
  5. 準備ができた医療機関から順次利用全国的な運用開始の後
  • 2026年9月10日のワーキンググループ資料では、令和8年8月31日時点で、10地域33医療機関がモデル事業で運用を始めています
  • 全国的な運用開始のときには、サービス側が運用開始用の技術解説書に対応し、利用の準備ができた電子カルテを入れた医療機関から順次使えるようになります。そうした電子カルテの導入時期は、主に各医療機関の電子カルテの更新時期を想定しているとされています

診療所が準備すること

診療所が先に確かめるのは、オンライン資格確認の導入と、電子カルテの対応状況です。

  • オンライン資格確認: 利用にはオンライン資格確認の導入が前提です。まだの場合は早めの準備を求めています(オンライン資格確認の義務と例外)
  • 医療機関等向け総合ポータルサイト: 手順書・利用申請・運用開始日の入力・補助金の申請などは、医療機関等向け総合ポータルサイトで案内されます
  • 電子カルテの対応: 使っている電子カルテが運用開始用の技術解説書に対応するかを、メーカーに確かめます。電子カルテの更新時期と合わせて考えます

導入の補助(電子カルテ情報標準規格準拠対応事業)は、実施要領(令和6年1月31日適用)が交付の対象を健康保険法に規定する「病院」と定めていて、オンライン資格確認と電子処方箋管理サービスを導入済みであることを条件にしています。

診療報酬の電子的診療情報連携体制整備加算と、このサービスとの関わりは電子的診療情報連携体制整備加算とはにまとめています(加算には施設基準があります)。電子カルテの認証や標準仕様の状況は電子カルテの認証制度と対応状況で確かめられます。

対応を公式に記載している電子カルテ

公式サイトで電子カルテ情報共有サービスへの対応を明記している電子カルテは次のとおりです。運用開始用の技術解説書は令和8年度冬頃に公開予定のため、現時点の「対応」が運用開始用の仕様への対応とは限りません。対応の時期や範囲は、製品ごとに確かめてください。

  1. 1

    クラウドカルテ blanc3.0/5

    亀田医療情報株式会社・電子カルテ

    料金は問い合わせクラウド電子処方箋情報共有サービス精神科・心療内科

    Microsoft Azure上で動くクラウド型の電子カルテで、病院向け電子カルテを長く手がけてきた会社が提供する。レセコンはORCAと連携する。

  2. 2

    BrainBox CloudⅡ2.5/5

    株式会社ユヤマ・電子カルテ

    料金は問い合わせ無料で試せるクラウド情報共有サービス

    ユヤマの無床診療所向けクラウド型電子カルテで、AIを使うWEB問診(オプション)や院内データの分析機能を持つ。ブラウザで動くカルテアプリ「BrainBox Mobile Client」も用意している。

  3. 3

    BrainBoxV-Ⅳ2.5/5

    株式会社ユヤマ・電子カルテ

    料金は問い合わせオンプレミス情報共有サービス内科

    無床診療所向けのオンプレミス型電子カルテ。医薬品データベースMDbankを標準で備え、過去分を並べるレセプト表示やAIによるオーダー提案の機能を持つ。

  4. 4

    Medicom-HRf Hybrid Cloud2.5/5

    ウィーメックス株式会社・電子カルテ

    料金は問い合わせ無料で試せるハイブリッド電子処方箋情報共有サービス

    院内サーバーとクラウドを組み合わせて使う診療所向けの電子カルテで、レセコン機能を一体で備える。予約・受付・検査・精算などの機器と連携でき、訪問診療など院外からも使える。

  5. 5

    DIABRAINS1.0/5

    株式会社メディブレイン・電子カルテ

    料金は問い合わせ情報共有サービス透析

    メディブレインの透析医療機関向け電子カルテで、透析支援システムの機能を併せ持つ。ORCA連携一覧に掲載されており、公式サイトでは熊本県の医療法人などの導入事例を紹介している。

編集部スコア順(2026年10月9日時点)。当てはまる5本のうち5本を表示。スコアは機能の優劣ではなく、選ぶための公開情報がそろっているかの目安です(採点方法)。

電子カルテ全体の比較は電子カルテの比較で、メーカーの一覧は電子カルテのメーカー一覧で見られます。無床の診療所は無床診療所向けのページも参考にしてください。

よくある質問

カルテの中身がすべてほかの医療機関に見られますか

見られません。扱う情報は、診療情報提供書・退院時サマリー・健康診断結果報告書と、臨床情報(傷病名・感染症・アレルギー等・検査)などに限られ、診療録(SOAP)に書いた所見や業務上のメモがすべて共有されるわけではないと、厚生労働省は説明しています。閲覧できるのも、患者が同意した項目に限られます。

診療所も導入の補助を受けられますか

電子カルテ情報標準規格準拠対応事業の実施要領(令和6年1月31日適用)は、交付の対象を「病院」と定めています。補助金の案内は、医療機関等向け総合ポータルサイトの「電子カルテ情報共有サービス」の補助金のページで確かめてください。

紹介状を送るたびに患者の同意が要りますか

文書送受信サービスで診療情報提供書を送るときは、送る前に口頭で患者の同意を得る必要があるとされています。

まず何から始めればよいですか

厚生労働省の概要案内は、オンライン資格確認を導入していない場合は早めに準備することと、医療機関等向け総合ポータルサイトにアカウントを登録しておくことを挙げています。具体的な手続きは、ポータルサイトの「電子カルテ情報共有サービス」のページに順次掲載される予定です。

出典

  1. 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/denkarukyouyuu.html
  2. 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス 概要案内 2.1.0版【医療機関、薬局の方々へ】」(令和8年7月)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001457777.pdf
  3. 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスに関する検討事項について」(第35回 医療等情報利活用ワーキンググループ 資料1、2026年9月10日)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001748289.pdf
  4. 厚生労働省「医療機関への補助(電子カルテ情報標準規格準拠対応事業)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/hojyokin2.pdf
  5. 厚生労働省「医療提供体制設備整備交付金の実施について(電子カルテ情報標準規格準拠対応事業 実施要領)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001324147.pdf

制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月9日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。

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