オンライン資格確認の義務と例外・経過措置|紙レセプトの診療所と猶予届出書【2026年】

要点
オンライン資格確認の体制を整えることは、保険医療機関の義務です。療担規則(保険医療機関及び保険医療養担当規則)第3条第4項が「あらかじめ必要な体制を整備しなければならない」と定め、厚生労働省は令和5年4月から導入を原則として義務付けています。例外は、紙(書面)でレセプトを請求している医療機関などで、このほかにやむを得ない事情がある医療機関には、地方厚生(支)局に猶予届出書を出す経過措置があります(2026年10月時点の療担規則(2026年6月1日施行の改正後)と厚生労働省の通知による)。
オンライン資格確認の義務とは
療担規則の第3条は、保険医療機関が患者の資格を確かめる方法と、オンライン資格確認の体制を整える義務を定めています。
| 項 | 内容(要約) |
|---|---|
| 第1項 | 資格を確かめる方法は、①電子資格確認(オンライン資格確認)、②患者が出す資格確認書、③居宅で継続して療養を受けている患者(電子資格確認で確認を受けてから継続している場合に限る)について、過去に取得した資格情報で保険者に照会して確かめる方法、④その他厚生労働大臣が定める方法、のいずれか |
| 第2項 | 患者が電子資格確認で確かめるよう求めた場合は、①か③の方法で確かめる |
| 第3項 | 書面でレセプトを請求している医療機関などには、第2項を適用しない |
| 第4項 | 第3項の医療機関を除き、患者が電子資格確認を受けられるよう、あらかじめ必要な体制を整備しなければならない |
つまり、患者がマイナ保険証で受診したいと求めたら応じられるように、カードリーダーや資格確認端末などの体制を先に整えておくことが義務になっています。
義務の対象
第3項以外の保険医療機関
- 体制をあらかじめ整える
- マイナ保険証の求めに応じる
義務の例外
紙レセプトの医療機関など
- 療担規則の第3条第3項
- 第2項・第4項は適用しない
義務の対象外になる医療機関
療担規則の第3条第3項で、次の医療機関は第2項(患者の求めに応じる義務)の対象外とされ、第4項(体制を整える義務)からも除かれています。
- 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令の附則第3条の4第1項により、書面(紙)でレセプトを請求している医療機関
- 同じ命令の附則第3条の5第1項により、届出を行った医療機関
厚生労働省の通知は、この例外措置の対象を「現在紙レセプトでの請求が認められている保険医療機関」と説明し、手書きでレセプトを作っている医療機関と、電子請求の義務化の時点で65歳以上の医師等の医療機関を挙げています。
経過措置の6つの類型と期限
義務の対象でも、やむを得ない事情がある医療機関には、期限付きの経過措置があります。厚生労働省の通知(令和5年1月27日、令和6年2月22日一部改正)が示す類型は次の6つです。
| 類型 | やむを得ない事情 | 期限 |
|---|---|---|
| (1) | 令和5年2月末までにシステム事業者と契約したが、システムの整備が終わっていない | 整備が終わる日まで(遅くとも令和5年9月末まで) |
| (2) | オンライン資格確認に接続できる光回線のネットワーク環境がない | 光回線が整備されてから6か月後まで |
| (3) | 訪問診療のみを行う | 令和6年12月1日まで(通知) |
| (4) | 改築工事中、臨時の施設 | 改築工事が終わるまで、臨時の施設が終わるまで |
| (5) | 廃止・休止の計画を定めている | 廃止・休止するまで(通知の対象は令和6年12月1日までに廃止・休止する計画) |
| (6) | その他特に困難な事情がある | 特に困難な事情が解消されるまで |
表の期限は厚生労働省の通知によるものです。療担規則の附則では、(3)は「仕組みの運用が開始されるまでの間」、(5)は「廃止又は休止するまでの間」と定めています。(1)と(3)の日付と、(5)の対象になる廃止・休止の日付(令和6年12月1日)は、2026年10月時点ですでに過ぎています。期限が日付で決まっていないのは、(2)(4)(6)です。
(2)について、通知は、光回線(IP-VPN接続方式)が使えない場合でも、インターネット回線を使う方法(IP-SEC+IKE方式)で導入できるので、その方法での導入が望ましいとしています。
(6)「特に困難な事情」の例
通知は、(6)に当たる場合として次の例を挙げています。
- ア.自然災害などで継続的に導入が難しい場合
- イ.高齢の医師などでレセプトの件数が少ない場合
- ウ.その他、例外措置や(1)〜(5)と同じように見られる特に困難な事情がある場合
イの目安は、令和5年4月時点で常勤の医師などが高齢で、月平均のレセプト件数が50件以下であることです。通知は、月平均50件以下かどうかは、令和3年12月から令和4年11月までにNDBに取り込まれた請求実績で地方厚生(支)局が確かめるとしています。イやウで届け出た場合は個別の判断になり、経過措置の対象にならないと連絡が来る場合もあります。
- 50件以下月平均のレセプト件数NDBの請求実績で確認
猶予届出書の出し方
経過措置の対象になる医療機関は、あらかじめ、所在地を管轄する地方厚生(支)局(分室がある場合は分室)に猶予届出書を出します。
- 6つの類型のどれに当たるか確かめる当たらなければ義務の対象
- 猶予届出書を書く類型ごとの必要書類を添付
- 地方厚生(支)局に届け出る新規指定なら指定申請と一緒に
- 令和6年4月以降、保険医療機関の指定を受ける時点から経過措置に当たる事情がある医療機関は、指定申請と一緒に猶予届出書を出します
- やむを得ない事情で必要な書類を付けられない場合は、届出のあと速やかに提出します
- 届出先を間違えた猶予届出書は、有効な届出として扱われないことがあります
猶予届出書の様式(ExcelとPDF)は、厚生労働省の「オンライン資格確認について」のページに載っています。
訪問診療・オンライン診療での資格確認
訪問診療やオンライン診療で、患者からオンライン資格確認を求められたときに応じる義務の経過措置は、令和6年12月1日までとされていました。
訪問診療などの居宅でオンライン資格確認をする仕組み(居宅同意取得型)は、医療機関では令和6年4月1日から運用を始めることとされていました。使うには、オンライン資格確認の本体のシステムを入れたうえで、管理者画面の環境設定から「訪問診療等機能」か「オンライン診療等機能」の利用を設定します。
体制を整えたあとに確かめること
オンライン資格確認を入れた診療所でも、受付でマイナ保険証が読めない場面はあります。そのときの確かめ方はマイナ保険証が読み取れないときの資格確認に、受付で見る書類の違いは資格確認書と資格情報のお知らせの違いにまとめています。
オンライン資格確認を行う体制は、電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準の1つにもなっています。区分ごとの要件は電子的診療情報連携体制整備加算とはを参考にしてください。オンライン資格確認と連携する電子カルテは電子カルテの比較で比べられます。開業の準備中なら開業準備中の方向けのページも参考にしてください。
よくある質問
紙カルテ・紙レセプトの診療所もオンライン資格確認は必要ですか
療担規則の第3条第3項で、患者の求めに応じる義務(第2項)と体制を整える義務(第4項)の対象外とされているのは、書面(紙)でレセプトを請求している医療機関と、請求命令の附則第3条の5第1項の届出をした医療機関です。カルテが紙かどうかは、この条文の基準に入っていません。
経過措置の猶予届出書はどこに出しますか
所在地を管轄する地方厚生(支)局(分室がある場合は分室)です。新しく保険医療機関の指定を受ける場合は、指定申請と一緒に出します。
光回線が引けない場所でも導入できますか
厚生労働省の通知は、光回線(IP-VPN接続方式)が使えない場合でも、インターネット回線を使う方法(IP-SEC+IKE方式)で導入できるとし、その方法での導入が望ましいとしています。光回線が無いことによる経過措置は、光回線が整備されてから6か月後までです。
経過措置の期限が過ぎたらどうなりますか
療担規則の附則は、経過措置の期間は第3条の義務を適用しないと定めているため、期間が終わると経過措置の対象外になり、義務が適用されると読めます。(6)の「特に困難な事情」は、事情が解消されるまでが期限です。個別の扱いは地方厚生(支)局に確かめてください。
出典
- e-Gov法令検索「保険医療機関及び保険医療養担当規則」
https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100015 - 厚生労働省「保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(保連発0127第1号・保医発0127第3号、令和6年2月22日一部改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001046238.pdf - 厚生労働省「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html - 厚生労働省「訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組み(居宅同意取得型)の実施上の留意事項について」(令和6年3月21日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001232034.pdf
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