OTC類似薬の一部保険外療養とは:診療所の処方と処方箋で変わること【2026年】

要点
OTC類似薬の一部保険外療養は、薬局などで買える市販薬(OTC医薬品)と成分・投与経路が同じで一日最大用量が異ならない医療用医薬品を処方するとき、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として患者さんに払ってもらう仕組みです。令和9年(2027年)3月1日に始まり、対象は77成分・1,042品目です。処方医は、18歳の年度末までのこども・指定難病・長期の使用が医療上必要な場合など9つの対象外に当たるかを処方のときに判断し、処方箋に新しく設けられる「一部保険外療養」欄に「○」(対象)か「―」(対象外)を書きます(2026年10月15日時点の厚生労働省の通知・事務連絡による)。
一部保険外療養はいつから、何が変わるか
一部保険外療養は、令和9年3月1日から始まります。根拠は健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)で、施行日を定める政令・療養担当規則の改正省令・関係告示が令和8年9月30日に公布されました。
- 令和9年3月1日制度が始まる日2027年3月1日
- 77成分対象の有効成分1,042品目
- 4分の1特別の料金対象医薬品の薬価×投薬全量
- 9つ特別の料金の対象外こども・指定難病など
診療所で変わるのは次の3つです。
- 処方のとき: 対象医薬品を処方するたびに、特別の料金の対象か対象外かを医師が判断します。厚生労働省の通知は、この判断は処方時に保険医療機関・処方医が行うものとしています
- 処方箋: 処方箋の様式に「一部保険外療養」欄が加わり、対象医薬品ごとに「○」か「―」を書きます
- レセプト: 対象医薬品を対象外として処方したときは、その理由を診療報酬明細書に書きます
制度は、中央社会保険医療協議会(中医協)で令和8年8月26日(第655回)と9月9日(第656回)に議論され、9月16日(第657回)に療養担当規則などの改正案が答申されました。
対象になる薬:77成分・1,042品目
対象医薬品は、要指導医薬品または一般用医薬品と成分・投与経路が同じで、一日最大用量が異ならない医療用医薬品です。中医協の資料と医療保険部会のとりまとめでは対象は77成分で、厚生労働省の専用ページは対象の有効成分の一覧を公表しています。たとえばロキソプロフェンナトリウム水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、L-カルボシステイン、酸化マグネシウム、ヘパリン類似物質などが含まれます。品目数は、医療保険部会のとりまとめで1,042品目です。
- 品目の一覧(対象医薬品リスト)は、令和8年9月30日の事務連絡の別添1として、厚生労働省のページにExcelとPDFで掲載されています
- 市販薬と同じ成分かどうかは、メーカー単位ではなく成分単位で比べています
- 対象医薬品の一覧は、原則として毎年4月1日に更新し、毎年3月頃に事前に公表する予定と通知に書かれています
- 請求に使う医薬品マスターは、厚生労働省の診療報酬情報提供サービスに掲載していると事務連絡は案内しています
特別の料金の計算と、払う場所
特別の料金は、対象医薬品の薬価の4分の1に投薬全量を掛けた額です。患者さんは、この特別の料金と、残りの4分の3を保険で計算したときの通常の自己負担を合わせて払います。
| 項目 | 計算のしかた |
|---|---|
| 特別の料金 | 厚生労働省のマスタの「対象医薬品の価格の4分の1」×投薬全量 |
| 端数 | 5円未満は切り捨て、5円以上10円未満は10円に切り上げ。10円未満は10円 |
| 保険で計算する部分 | マスタの「保険外併用療養費の算出に用いる価格」で薬剤料の点数を出し、自己負担率を掛ける |
| 患者さんの負担の合計 | 特別の料金+保険で計算する部分の自己負担 |
費用の計算方法の事務連絡の例では、薬価16.50円の錠剤を1日2錠・30日分出した場合(3割負担)、特別の料金が250円、保険で計算する部分の自己負担が180円で、この薬の分の負担は合計430円です(初診料などの技術料は別)。
- 払う場所: 院内処方なら診療所で、院外処方なら薬局で払います
- 領収書: 特別の料金を受け取った医療機関は、保険の一部負担と特別の料金を区分した領収書を出します。明細書の記載例の事務連絡では、対象医薬品の名前の後に「(類)」を付け、「一部保険外療養に係る患者負担額」を別の行に書く形が示されています
- 掲示: 改正後の療養担当規則(令和8年厚生労働省令第143号)の第5条の4第3項は、掲示の対象を第1項の療養としており、一部保険外療養を定める第2項は含まれていません。中医協の補足資料(令和8年9月16日)は、全国一律の内容と費用で行う仕組みのため、院内掲示とウェブサイトへの掲示の義務は課さないと説明していました
- 長期収載品との関係: 一部保険外療養の対象になる場合は、長期収載品の選定療養の特別の料金は求めません。同じ薬で2つの特別の料金が重なることはありません
特別の料金の対象外になる9つの場合
次のいずれかに当たると、特別の料金の対象外になります(保医発0930第6号)。判断の考え方は、通知の別紙に具体例とともに書かれています。
| 対象外になる場合 | 確認のしかた・注意点(通知の別紙から) |
|---|---|
| 1 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの者 | 処方時に判断。調剤時に4月1日を過ぎても対象外のまま |
| 2 がん治療中の、がんやその治療に関連して生じた状態 | 治療終了後・がんの疑いで精査中は対象。がん治療と関係の薄い症状も対象 |
| 3 指定難病、18〜20歳の小児慢性特定疾病と、それに関連して生じた状態 | 医療受給者証・登録者証で確認。指定難病は、令和9年度末までは臨床調査個人票などの書類でも可 |
| 4 国の公費負担医療での処方 | 受給者証などで確認。地方単独事業の助成は含まない |
| 5 入院時の処方(退院時処方を含む) | 入院中の患者がほかの医療機関で受けた処方は対象 |
| 6 侵襲を伴う検査・処置・手術の後、同日に新たに出す14日分以内の処方 | 15日分以上、翌日以降の処方、検査前から続く症状への処方は対象 |
| 7 医師が年間を通じた長期の使用が医療上必要と認める場合 | 内服薬はおおむね50週の継続使用。半年の使用継続が確かめられ、年間を通じた使用が医療上必要と医師が認めれば、対象外と判断してよい。屯服薬は対象 |
| 8 市販薬の効能・効果では対応できない状態 | 対象外になる効能・効果と傷病名の例の一覧が事務連絡の別添2で公表 |
| 9 妊婦・妊娠の可能性がある人・授乳婦が、市販薬を服用できない成分 | 本人の申告(問診票)を基本に医師が判断。該当する成分は別添3で公表 |
外用薬の長期使用は、点眼薬・アトピー性皮膚炎へのヘパリン類似物質と尿素・プロアクティブ療法としてのステロイド外用薬など、通知に書かれた場合に限られます。慢性かつ重度の疾患への鎮痛消炎外用薬などは、令和10年度末までの経過措置として対象外です。このほか、在宅時医学総合管理料など薬剤料が包括される点数を算定して院内処方をした場合は、薬剤料が生じないため対象外になります。
処方するときの判断の流れ
処方医は、対象医薬品かどうかを確かめたうえで、9つの対象外に当たるかを順に確認し、結果を処方箋とレセプトに残します。
- 対象医薬品かを確かめる77成分・1,042品目のリスト
- 9つの対象外に当たるかを確認する年齢・受給者証・病名・使用歴
- 処方箋の「一部保険外療養」欄に書く対象は「○」・対象外は「―」
- 対象外ならレセプトに理由を書く18歳年度末まで・入院時は不要
通知は、医療機関が必要に応じて、特別の料金がかかることの情報提供や、対象か対象外かの質問への説明を患者さんに行うことが適当としています。あわせて、制度は対象医薬品の処方を控えることを意図するものではなく、症状に応じて最適な薬を処方するよう求めています。
レセプトの理由の書き方は、改正後の「診療報酬請求書等の記載要領」の別表Ⅰに示された項目を使います。記載要領では、18歳の年度末までの者と入院時の処方は、理由の記載は不要とされています。
処方箋の「一部保険外療養」欄の書き方
令和9年3月1日付けで処方箋の様式が改正され、「一部保険外療養」欄が加わります。対象医薬品ごとに、特別の料金の対象なら「○」、対象外なら「―」を書きます(一般名処方の場合も同じ)。
- 古い様式の処方箋: 当分の間、手書きなどで直して使えます。その場合は対象医薬品名の近くに「一部保険外療養」として「○」か「―」を書き、薬局に判断が伝わるようにします
- 3月1日より前に出した処方箋: 施行日より前に処方し、3月1日以降に薬局へ出された処方箋(リフィル処方箋の2回目以降を含む)は、特別の料金の対象になりません
- 欄が空いているとき: 対象医薬品に「○」も「―」も無いと、薬局は処方医に疑義照会をします。ただし、18歳の年度末までの患者さんと、妊婦・授乳婦などが市販薬を服用できない成分の場合は、薬局が年齢などで確かめて特別の料金を求めず、事後に処方医へ報告します
- 長期収載品を銘柄名で出すとき: 「一部保険外療養」欄に「○」か「―」を書いたうえで、必要に応じて「変更不可(医療上必要)」か「患者希望」欄に「✓」か「×」を書きます。「○」があれば、薬局は長期収載品の欄の記載に関わらず一部保険外療養の特別の料金を受け取ります
電子カルテ・レセコン・電子処方箋で準備すること
診療所の準備の中心は、電子カルテ・レセコンの改修と、処方時に判断する運用の決め方です。中医協(第656回)の資料(対応案)は、対象医薬品の薬剤コード・効能・効果が対応しない傷病名の一覧・レセプトに書く理由の標準例など、ベンダーの改修に役立つ情報を国が公表するとしていました。令和8年9月30日の事務連絡で、対象医薬品リスト(別添1)・対象外となる効能・効果と傷病名の例の一覧(別添2)・妊婦等の対象外リスト(別添3)が公表されています。
同じ中医協の資料(対応案)は、電子カルテ・レセコンが年齢・公費の資格・傷病名などから対象外の可能性を表示し、理由を選べるようにする仕組みをベンダーが作れるよう国が情報提供するとしています。ただし、がん・指定難病・長期使用などの医学的な判断は、システムが最終判定するのではなく医師が判断するのが基本とされています。お使いの電子カルテ・レセコンがいつ、どこまで対応するかは、メーカーに確かめてください。メーカーと提供会社の一覧はメーカー一覧にまとめています。
電子処方箋については、第11回電子処方箋等検討ワーキンググループの資料(令和8年9月29日)が、次の変更を示しています。
- 電子カルテ医師が対象・対象外を入力
- 登録
- 電子処方箋の管理薬品補足区分9・10
- 処方情報
- 薬局○なら特別の料金を受領
- 電子処方箋管理サービスの記録条件仕様(処方編・院内処方編)の「薬品補足区分」に、「9:特別料金(OTC類似薬)」と「10:特別料金対象外(OTC類似薬)」を新しく加える改修を行う
- 電子処方箋を出すときの処方内容(控え)に、「類似薬」「類似薬 外」と表示できるようにする
- 医師がOTC類似薬に当たるかを判断して電子カルテに入力することが想定され、電子カルテの機能によっては、条件を自動で判定して登録できる部分もあると考えられる
電子処方箋の日々の運用は電子処方箋の運用に、院内処方の診療所の扱いは院内処方の診療所も電子処方箋の対象にに、導入費の補助は電子処方箋の補助金にまとめています。
2026年10月15日時点で未公表のこと
次の点は、2026年10月15日時点で厚生労働省の専用ページに掲載されている資料からは分かりません。確かめる先は、厚生労働省 保険局 医療課(代表 03-5253-1111)と、専用ページの更新です。
- 特別の料金にかかる消費税の扱い: 未公表(2026年10月15日時点)。費用の計算方法の事務連絡は、本年末を目途に示すとしています
- 全国共通のQ&A(疑義解釈): 未公表(2026年10月15日時点)
- 医療機関向けの解説資料・患者説明用のリーフレットなどの広報資材: 未公表(2026年10月15日時点)。専用ページは、今後順次作成して公表する予定としています
- 紙カルテの医療機関向けのチェックシート: 中医協(第656回)で作成が提案されましたが、未公表(2026年10月15日時点)
- 令和10年度末の経過措置の後の扱い: 未公表(2026年10月15日時点)。医療保険部会のとりまとめは、診療ガイドラインのエビデンスの状況などを踏まえて必要な見直しを行うとしています
電子カルテを選び直すときに
対象医薬品の判定や処方箋の新しい欄への対応は、電子カルテ・レセコンの改修で行われます。入れ替えを考えている診療所は、令和9年3月の施行に間に合うかを見積もりの段階で確かめてください。掲載している電子カルテは次のとおりです。
ほかの製品も含めて比べるときは電子カルテの比較を、無床診療所向けの情報は無床診療所向けのページを見てください。電子カルテ情報共有サービスや標準型電子カルテなど医療DXの用語は医療DX・電子カルテの用語集で確かめられます。
よくある質問
OTC類似薬の一部保険外療養はいつから始まりますか
令和9年(2027年)3月1日です。施行日を定める政令(令和8年政令第320号)が令和8年9月30日に公布されました。3月1日より前に処方し、3月1日以降に薬局へ出された処方箋は、特別の料金の対象になりません。
特別の料金は診療所が受け取るのですか
院内処方の場合は診療所が、院外処方の場合は薬局が受け取ります。院外処方の診療所は、処方箋の「一部保険外療養」欄に「○」か「―」を書くことで、薬局に判断を伝えます。
院内掲示やホームページへの掲載は必要ですか
改正後の療養担当規則(令和8年厚生労働省令第143号)では、院内掲示の義務(第5条の4第3項)の対象に一部保険外療養は含まれていません。中医協の補足資料(令和8年9月16日)は、全国一律の内容と費用で行う仕組みのため、院内掲示とウェブサイトへの掲示の義務は課さないと説明していました。通知は、必要に応じて患者さんへ情報提供や説明を行うことが適当としています。
対象医薬品の一覧はどこで確かめられますか
厚生労働省の専用ページ「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて(OTC類似薬の一部保険外療養)」に、対象医薬品リスト(Excel・PDF)が掲載されています。一覧は原則として毎年4月1日に更新され、毎年3月頃に事前に公表される予定です。
出典
- 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて(OTC類似薬の一部保険外療養)」(2026年9月30日更新)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index_00001.html - 厚生労働省保険局医療課長・歯科医療管理官「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養について」(保医発0930第6号、令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754355.pdf - 厚生労働省保険局長「健康保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令の公布について」(保発0930第5号、令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754354.pdf - 厚生労働省「保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第143号)条文・新旧対照表」(令和8年9月30日公布)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754340.pdf - 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養における費用の計算方法について」(令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754370.pdf - 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養の対象医薬品等について」(令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754645.pdf - 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養の明細書の記載例について」(令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754369.pdf - 厚生労働省「「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について」(令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754356.pdf - 厚生労働省「「診療報酬請求書等の記載要領等について」の一部改正について」(令和8年9月30日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001754357.pdf - 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001753114.pdf - 中央社会保険医療協議会「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」(第655回総会 総-2、令和8年8月26日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001742587.pdf - 中央社会保険医療協議会「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(その2)」(第656回総会 総-2、令和8年9月9日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001747613.pdf - 中央社会保険医療協議会「一部保険外療養の創設に伴う療養担当規則等の所要の見直しについて(補足資料)」(第657回総会 総-2-2、令和8年9月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001750142.pdf - 厚生労働省「第11回電子処方箋等検討ワーキンググループ 資料1」(令和8年9月29日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001753149.pdf
制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月15日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。



